こんにちは。設計の唐澤です。
今回は新築レポの最終回・完工編と題しまして、仕上げ~完工までのご紹介をさせて頂きます。
仕上がりの雰囲気は「完成見学会レポ」でご紹介をしておりますので、そちらをご覧くださいませ♪
今回は見た目だけではお伝えできない、設計意図や仕上げのポイントについて、完成写真を交えながらご紹介させて頂きます。どうぞお付き合いくださいませ。
目次
パターン様々!珪藻土とモルタルの左官
S様邸では壁に珪藻土クロスを、そして全ての天井に珪藻土を使用しました。玄関とWICの壁の一部にも珪藻土を塗りました。
塗り壁は仕上げのパターンが様々です。実際に見て選んで頂こう、ということで、左官職人さんが様々なパターンを試し塗りをしてくださり、奥様に選んで頂きました。
天井はシンプルでラフな印象に仕上げました。
対してWICの塗りは、横に引きずったような模様に仕上げて頂きました。
こちらもまた違った良さがあり素敵です。1か所だけ塗り方を変えてみるのも、楽しみがまた増えますね。
この度は、玄関土間とポーチも左官仕上げにしました。
タイルとモルタルは好みが分かれますが、最近はモルタルを好まれる方が増えました。
モルタルはその特性上どうしてもひび割れや白華現象を起こすことがありますので、ご理解頂いてから採用させて頂いております。
モルタルも塗り方にパターンがあり、今回は2パターンで仕上げました。
ポーチ表面は「金ゴテ」仕上げといって表面がつややかです。対して立ち上がりは「刷毛引き」で仕上げて頂きました。
微かに縦すじ模様が入っているのが分かると思います。水捌けを考慮し縦にしているのがポイントです。「金ゴテ」仕上げは表面の凸凹が無い分お掃除がしやすいという利点があります。ただ「刷毛引き」と比べると少し滑りやすいところがありますので、近くに手摺があった方が良いかと思います。
戸建てならではの「階段」について
続いては階段についてのご紹介です。
階段の段数は階高によって変化します。階高は自由に設定できますが、建築基準法である程度制限されております。1階~2階を2.8m、2階~ロフト階を2.7mとしました。水回りを2階に持ってきたこともあり、1階の天井高さは2.3mとさせて頂きました。2階は標準の2.4mです。
1階は14段、1段分の高さは20cm、2階は13段で高さは約21cm、と標準の高さになっております。
また段の高さは均等にするのが一般的です。
例えば1cm低い所が1段でもあるとつまずいたり足をくじいたりすることがあるからです。
新築ではまず無いことですが戸建てリフォームで階段を再利用する場合、工事内容によっては1段目の高さが変わってしまうことがありますので、ご理解頂いた上で進めることが必要です。
続いては、階段の材料についてご紹介します。
階段材はウッドワンさんを使用させていただきました。
他のメーカーさんもそうですが、踏板・蹴込み板・ささら板それぞれ色を選ぶことができ、意匠性が抜群です!
今回は、踏板のみ「ナチュラルピンク」として2階「さくら」の無垢フローリングに合わせ、他は全て「ホワイト」で統一しました。
ちなみに手摺もウッドワンさんですが、ここだけは奥様のご要望で無垢の無塗装品にしました。
手触りが優しく見た目もラフな感じで、個人的にはとても素敵だと思いました。
無塗装品はささくれが発生しやすい面がありますが、「その時はやすりをかけます」とご理解頂き採用されました。
少し余談ですが、階段の照明はブラケットライトにしました。
階段の照明は2階に上がる時のことを考えて照明を選びます。
上を向いた時に眩しいので直接的な照明は避けることが多く、ブラケット照明でも壁を照らす「間接照明型」とすると灯りが柔らかくなり雰囲気のある空間になります。S様邸の照明は「上下配灯型」を採用しました。
「天空率」を使って広々としたロフトへ!
続いてはロフトです。S様邸では「天空率」を使って、高さ制限の緩和を最大限利用しました。
またロフトは北側にあるのですが、反対の南側には勾配天井のリビングが来ます。屋根は「片流れ」ですので、両お部屋が快適な高さになるよう屋根勾配にもこだわりました。
斜線制限には「北側斜線」と「道路斜線」がありますね。
「北側斜線」は北側のお家が南側から陽を取り込めるよう配慮をする必要があるので「天空率」は利用できません。
緩和できるのは「道路斜線」のみです。近隣周辺への影響が無いことをより細かい計算により算出します。
計算費用はかかりますが、制限の厳しい土地や天井を少しでも高くしたいお家には有効な緩和措置です。
無垢・紀州産の「化粧梁」。とても素敵なリビングになりました。
S様邸は「耐震等級3」を取得しておりますので、構造計算による一部変更が生じる旨はあらかじめお伝えしておりました。
案の定いくつか変更があったのですが、1番大きいのがこの化粧梁でした。当初はスポットライトが設置されている梁だけ見せるつもりでした。
この化粧梁を追加しなければバルコニーの掃き出し窓を小さくせざるを得なかったため、S様にご相談をしてこちらを採用頂きました。
少し心配だった圧迫感もなく素敵な空間になりました。。!
ロープでプランターなどを吊るしても素敵ですね。せっかくの綺麗で力強い構造材ですので、私としても室内に少しでも現わせることができ嬉しい限りです♪
防火地域に有効な「耐熱強化ガラス」
S様邸の土地は準防火地域です。ですのでほとんどの窓は防火仕様にしなくてはなりません。
そこで今回は防火地域にも対応できる「耐熱強化透明複層ガラス」を一部に採用しました。
通常ガラス内部に入るはずの金網が無く、外の眺めを楽しむことができます。
まとめてご紹介。その他のこだわりポイント
こだわりポイントは他にもありますが、簡単にまとめてご紹介していきます。
ニッチ
前回のレポでもご紹介したニッチの仕上がりです。ちょうど廊下脇に位置しているので、ぶつけて壊す心配もありません。
家具コンセント
カウンター上は家具コンセントを使用しました。
洗面台・カウンター
脱衣室と分けて洗面コーナーとしました。
水が溜まらない壁水栓のユニット洗面台、タモの集成カウンター、左壁はお掃除しやすいパネル仕上げ、とこだわりの詰まった洗面コーナーとなりました。
タモの集成材
リビングの棚やキッチンの笠木は、タモ材で統一しました。
階段を上がった先の景色
階段を上がった2階の景色です。南側の明るい掃き出し窓が廊下を照らしています。
ここは図面の段階ではなかなか想像しにくい所でしたので、完成した後のこの明るさを見て、あらためてとても嬉しい気持ちでした。
以上、S様邸新築工事のご紹介でございました。
工事着工後もお施主様と相談を重ねながら、協力して進めさせて頂きました。誠にありがとうございました。
いかがでしたでしょうか、S様邸のご様子や夢工房のつくる新築住宅の良さが少しでも伝わりましたら幸いです。
この度も最後までお読み頂き誠にありがとうございました。
唐澤
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