こんにちは。設計の唐澤です。
気温の不安定な時期が続いておりますが、みなさま体調など崩されていませんでしょうか?
野菜でしっかり栄養を採り、免疫力をアップさせてくださいね。
こんな時こそ楽しい話題で!と行きたいところですが、今回のテーマは「地盤調査」についてです!
少し硬いお話ですが…お付き合い頂ければと思います。
目次
地盤調査とは?
お家を建てるにあたり、まずは「この土地は安全?」という不安が出てきますよね。
こればかりは調査をしてみないことには判断ができないのですが、もし地盤改良が必要になった場合に結構な金額がかかりますので、とても気になる部分ですよね。
また、この土地は100%安全です!と言えれば良いのですが、相手は大自然ですので、簡単に判断するのが難しいのが現状です。
過去の資料、目視、機械試験、と色々な所から情報を集め総合的に判断する必要があります。
今回はこの地盤調査について、もう少し詳しくご説明いたします。
少しそれますが、よく耳にされる「造成地」と「液状化現象」についても、少しご説明をしておきます。
造成地とは?
傾斜地では、土地を平坦にするために「切土」もしくは「盛土」をしています。
「切土」は崖をごっそり切り取ることを言い、「盛土」はその逆で、傾斜地に土を盛ることで土地を平坦にしています。
盛土の場合は、土留めとなる擁壁工事(コンクリート状の壁を造る工事)もこの時に行います。
切土造成地は既存の地盤を切取るだけなので安定した地盤であることが多いですが、盛土造成地では盛った土が完全に締め固まるまで時間がかかりますので、試験調査を行いきちんと数値を確認する必要があります。
また、盛土と切土が混在している土地は不安定になりやすいので地盤改良が必要となる場合があります。
地震の時に耳にする、「液状化現象」とは?
地震後は液状化というワードが良く出てくると思います。
これは、地下水位の高い砂質土の地盤で起きやすい現象です。
地震による振動で砂粒同士の結びつきが解けてしまい、重い砂が下へ沈下することで水が上へ流れ出てしまうことで発生します。
そのような土地では、締固めを行ったり、土中の水を抜いて地下水位を低くしたりする方法がありますが、これは莫大な費用がかかり、あまり現実的ではありません。
もちろん個人での対策方法があり、地盤補強や地盤改良する、また基礎形状を工夫することで建物への影響を軽減することができます。
液状化については「液状化ハザードマップ」という資料で確認することができ、市のホームページから閲覧が可能です。
(※地域によっては資料が無い場合もございます。)
● 川崎市 ⇒http://www.city.kawasaki.jp/170/page/0000046739.html
確認の一歩目!「目視調査」と「地形確認」
地盤調査は判断が難しい為、あらゆるところからヒントを得る必要があります。
まず大切なのは「目視調査」です。既存建物・周囲建物の壁や基礎、塀や道路にヒビ割れや傾きが無いか確認することで事前の想定を行い、試験の結果と照らし合わせて判断をします。
また「地形」についても事前に確認します。
地形は大まかに「山地」「丘陵・台地」「低地」の3つに分けられます。
「山地」と「丘陵・台地」は比較的に安定した地盤と言われています。
ただ急傾斜地や地層の風化した地盤では土砂崩れの危険性もあります。
「低地」は「沖積低地」とも呼ばれ、一般的に弱い地盤を指します。
東京低地や利根川低地など、河川周辺や埋立地などがこれに当たります。
神奈川県では多摩川や相模川の周辺が低地になります。
ここへ鉄筋コンクリート造や鉄骨造など重量物を建築する際は、地盤改良工事が必要となる可能性が増えます。
色々ある「試験調査」その種類とは?
①標準貫入試験
60kgほどの重りを75cmの高さから落として「ロッド」と呼ばれる棒を地盤に貫入させる方法です。
ロッドが地面へ30cm貫入するのに何回重りを落としたかで地盤の強さを測定します。
60mもの深さまで調査が可能で、土の採取や地下水位の確認ができるのが特徴です。
②スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)
ロッドに100kgのおもりを載せ、25cmごとに地盤の強度を測定します。
おもりを載せると勝手に沈む場合、この層を「自沈層」と言います。
おもりを載せてもロッドが自沈しない時の地盤強さを30KN/㎡とし、それ以上はロッドを回転させながら25cm貫入するのに何半回転したかで地盤の強さを測定します。
深さ10m程まで調査が可能です。
先端に付着した土の採取や回転する時の感触で、粘性土か砂質土かを判断します。
重量構造物にはあまり適さないそうですが、木造住宅の地盤調査方法としては一般的な試験方法です。
③平板載荷試験
基礎を施工する深さまで地面を掘り、そこに「載荷板」という板を置いて荷重によりどのくらい沈下するか測定する方法です。
深さ50cm程しか調査できないため、より深い地盤まで確認したい時は不向きかも知れません。
④表面波探査法
「起振器」という機械で人工的に地盤へ振動を与え、その振動の伝わり方で地盤の強度を測定する方法です。
これは専門家でないと結果を判断できないそうで、他の方法で判断材料となる土の採取などもできないため、専門家さん頼みになります。深さは10m程まで調査可能です。
まとめ
SWS試験を例に挙げてご説明しますが、この試験によりデータ表が作成されます。
このデータを見て、おおよそ想定通りの結果となっているか、また著しく地盤の弱い層が無いか等確認を行います。
例えば、計測結果が自沈層と良好地盤層がサンドイッチ状になっている場合は、更に調査を進める必要があります。
必要と判断された場合には、セメントや鋼管を使用した柱状改良などを行う可能性があります。
広さや土地状況にもよりますが、改良方法によっては100万円近くかかってしまう場合もあります。
近隣の方々から土地の情報を得たり既存建物の状況を事前に確認したりして、予備費を見ておくとより安心かと思います。
せっかくの新築ですので、安心して住み続けるためにも地盤改良の大切さを少しでもお伝えできましたら幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。