はじめまして、こんにちは。
新しくブログ執筆メンバーに加わりました。リノベーションアドバイザーの芝です。
今週から新しいメンバーがリノベーションや住まいにまつわるお話をお送りしていきます。どうぞよろしくお願いします。
1回目の今回は私が実際に訪れた事のある、アルベロベッロという町の伝統的な住宅をご紹介したいと思います。
もしかしたら新しい住まい作りのヒントになる・・・かは分かりませんが、世界にはこんな家があるんだなあ、と思ってもらえると嬉しいです。
目次
アルベロベッロってどんな町?
皆さんはアルベロベッロという地名を聞いたことがありますか?
日本ではよく「アルベロ」というお店を見かけますが、それはイタリア語で「木」を意味する言葉なんだそうです。
さらに「アルベロベッロ」は「美しい木」という意味なんだとか。
なんだかメルヘンチックな名前ですね
アルベロベッロは南イタリア、プーリア州に位置し人口は1万人ほど。
イタリアはよくブーツの形と言われますが、アルベロベッロは大体ブーツで表すとヒールの根本辺りにあり、最も近い都市バーリからは電車で2時間弱離れたのどかな町です。
アルベロベッロの歴史は16世紀頃、当時の領主が農地開拓のために農民を住まわせたのが始まりと言われています。
その由来が後にこの地の名物となる、オリーブとトゥルッリを生み出します。
そんなのあり? 漆喰壁が美しい世界文化遺産「トゥルッリ」とは?
トゥルッリとは、アルベロベッロやその近辺の町に古くから伝わる伝統建築のこと。
アルベロベッロは特に多くのトゥルッリを残しており、1996年に世界文化遺産にも登録されました。
その特徴は石造りの三角屋根に漆喰の壁の小さな一軒家。それらは全てこの土地でとれる石灰岩を使用しています。
と、いうのもこの町では昔「モルタルを使用した建物を作ってはいけない」という法律があったため、農民たちは周辺でとれた石灰岩を積み、石灰から作った漆喰で塗り固めて家を作ったというわけです。
「え、漆喰って石灰からできているの?!」
と驚いたあなたには、こちら↓の記事もおすすめです!
さて、気になる中の様子ですが、一見すると小さな一軒家のトゥルッリは、実はいくつかが中で繋がっているので意外と普通の家のように玄関があってリビングがあってと、広々としています。
更には三角屋根の中に屋根裏部屋を作っている家も。
「僕が子供の時は屋根裏が僕の部屋だったんだよ」
と、写真のおじさんが教えてくれました。アルベロベッロには何世代にも渡って住んでいる人が多いようです。
また、アルベロベッロに関わらずイタリアは古い民家が多く残されているためか民泊も盛んです。
家主と直接メールや電話でやり取りしないといけないので言語の問題はありますが、安い料金で歴史ある建物に泊まることができるのはとても魅力的です。
皆さんもイタリアに行かれる際は是非、民泊も視野に入れてみてくださいね!
それにしても、石造りの家が主流なイタリアで「モルタルを使うな」とは無茶苦茶な法律ですよね。
日本で言うと「釘を使うな」でしょうか?(宮大工さんは喜びそう)
なぜそんな法律ができたのかというと、理由は先ほど触れた、この町の起源に由来します。
16世紀頃にナポリ王国の貴族、コンヴェルサーノ伯爵はこの地に町を作りますが、当時のナポリ王国では町を作るためには国の認可が必要で、その上領主は国に税金を納めなければなりませんでした。
そこで伯爵は壊しやすく作りやすい家を作らせ、実際に国の視察が来ると家を取り壊させて税の徴収を免れた、というのがアルベロベッロとトゥルッリの始まりです。
なんとも大胆な節税方法ですね(というか脱税)
ナポリ王国の法律は現代から見ても至極当然のように思えますが、それを「町ごと消せば税金を納めなくて済む!」とやってしまうのが凄い所。
材料の石灰岩は周辺に沢山あったという話なので、壊した後の物もその辺に放っておけばわからないし、視察が終わればまたその辺から石を回収して新しく家を建てられる、ということだったんでしょうか・・・。
それにしてもバレそうなものですが・・・その辺、緩いのがイタリア人らしいですね。
まとめ。丈夫なだけが家じゃない!
南イタリアの不思議な住宅のお話、いかがでしたでしょうか?
家を建てる上で求めた機能が「壊しやすさ」というのは斬新でしたね。
私もコンヴェルサーノ伯爵のように先入観に捕らわれない、大胆なご提案が出来るアドバイザーになれるよう、日々精進していきたいと思います(※法律は順守で!)
イタリアはアルベロベッロ以外にも魅力的な町が沢山あるので、そちらはまたの機会にお送りします。お楽しみにー!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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