こんにちは。リノベーションプランナーの遠藤です。今回の記事では、団地リノベーションの特色と魅力、そして事前に気を付けておきたいポイントについて書かせて頂きたいと思います。
団地は立地的にも緑豊かな場所が多かったり、またスーパーマーケットやコンビニなどが近くにあることも多かったりと、その暮らしやすさから最近は中古の団地をリノベーションして住まわれる方が増えてきています。
目次
古い?住みづらい? そんなイメージの団地をリフォーム・リノベーションで住みやすく
新しいお洒落なマンションも憧れますが、味のある団地のお部屋の雰囲気もまた良いですよね。
弊社のオフィスがある横浜市都筑区周辺にも沢山の素敵な団地があり、リノベーションのお手伝いをさせて頂くこともしばしば。
団地のリノベーションというと、築年数も経っていて制約なども多いイメージがあるかもしれませんが、団地ならではのレトロな風合いや良さを活かしながらリノベーションすることでオリジナリティのあるお洒落な暮らしをつくることができます。
団地リノベの際に気になるのが「マンションのリノベーションと何が違うの?」というところ。
そんな素朴な疑問とメリット・デメリット等について考えていきたいと思います。
マンションと団地はどう違う?
そもそも、マンションと団地には法律上の明確な区別は無いのですが、団地の特徴としては主に下記のようなことが挙げられます。
《団地の主な特徴》
・一つの大きな敷地に複数の号棟が建てられている(=集合住宅)
・築年数が経っている(築30年以上の建物が多い)
・商業施設・病院・公園・銀行などが併設されている場合もある(地域コミュニティ)
一般的には都道府県や市町村が運営する公営住宅やUR賃貸住宅などがいわゆる「団地」と呼ばれる建物です。
団地の「壁式構造」について
団地の多くは「壁式構造」という、柱ではなく壁全体で建物を支える造りになっており、これがマンションとは異なる団地ならではの大きな特徴のひとつです。
「壁式構造」のメリットは、「丈夫である」ことで、耐震性にも優れています。
そのため、築年数が経っていてもリノベーションをすることで安心して長く住まうことができます。
しかし、この「壁式構造」がリノベーションをする上では支障となってしまうことも。
壁式構造の場合、部屋どうしの間仕切り壁が躯体(コンクリート)の壁となっていたり、構造上壊すことの出来ない壁があったりと、間取りを大きく変えられないことも多いです。
間取りをガラッと変えたい!という方にとっては、なかなか思うようにいかない部分も出てくるかと思うので、何が出来て何が出来ないのか、プランの検討が必要になってきます。
また、躯体壁部分にはスイッチやコンセントを新設できない(新設する場合は露出配線になる)、既存の躯体壁に設置されているスイッチ・コンセントは動かすことが出来ない、といったこともあるので、照明計画も慎重に行っていく必要があります。
団地リノベのコストメリット
団地リノベのメリットとしては、これまでに挙げた立地・構造的メリットの他に「コストメリット」があると考えます。
これまでに私が担当させて頂いた団地のお住まいでのフルリノベーション費用は、約700~1200万円ほどで、リノベーション費用としては一般的なマンションリノベーションと大きく変わりありません。
しかし、物件自体の費用が一般的なマンションと比較すると安価である場合が多く、
総額としてはマンションリノベよりも低予算に抑えられることも。
団地でも人気物件や好立地物件だと、物件価格が高いところもあるため、
「団地リノベはマンションリノベよりも安い!」と一概には言い切れないのですが、
リーズナブルな物件を選べば、物件価格は抑えてその分をリノベーション費用に充てることも可能です。
ご予算に合った物件を見つけて、コスト面とデザイン面の両方でより理想のお住まいに近づけていきましょう…!
弊社では物件のお探しからリノベーションまでをワンストップでお手伝いさせて頂くことが出来ますので、物件探しとリノベーションを並行して考えていきたいという方は、一度是非ご相談をしてみてください。
ちなみに、団地の場合はエレベーターが備わっていないことがほとんどなので、
階段の上り下りが大変な3階以上のお部屋は価格が下がります。
マンションの場合は上階へ行けば行くほど物件価格が高くなりますが、団地の場合はその逆になるんですね。
毎日階段で3階以上へ上るというのは結構な労力になるかもしれませんが、
コストメリットを考えると、日々の運動も兼ねて上層階に住むのもアリかも…?
眺めも良いですしね!
団地のリフォーム・リノベーションで気をつけたいポイント
最後に、団地リノベで気を付けておきたいポイントについてご説明します。
これまでのところで
「間取り変更の制約」「躯体壁面のスイッチやコンセントの制限」「エレベーターがない」ことなどは書かせて頂きましたが、それ以外にも気を付けておくべきポイントが。
① 天井も躯体であることが多い
団地は壁だけでなく、天井も躯体であることが多いです。
そのため、天井に埋め込む必要のあるダウンライトを付けることは難しく、照明は既存の引っ掛けシーリングを活かしたり、ダクトレールにしたりという風にします。
それはそれで意匠性のある照明器具を付けることができますし、天井を躯体表しにするといったことも出来るので工夫次第でいくらでも素敵な空間にすることができます。
② 浴室が在来工法でつくられている
団地の浴室は壁・床タイル貼りの在来工法でつくられていることがほとんど。
ユニットバス/システムバスに交換する際は、はつり工事が必要になる場合も。
はつり工事を行う場合にはかなり大きな音が出るので、近隣の住民の方々にもきちんとご挨拶をして許可を頂いておく必要があります。
また、既存の浴室が団地特有のコンパクトな寸法であることも多く、その場合は新しく入れるユニットバス/システムバスのメーカーさんが限られてくることもあります。
③ 給排水管・断熱材・サッシが古い
建てられてから一度もリフォームされていない物件の場合、
多くの団地は給排水管・断熱材・窓サッシが当時のままになっています。
給排水管とサッシは管理組合による大規模修繕によって新しくしてくれている場合もあります。
当時の給排水管は鉄管と銅管になっており、そのままでは劣化が原因による錆が水に混ざってしまったり、水漏れが起きてしまう可能性が高いことから、リノベーションの際には交換をおすすめしています。
サッシは共用部なので、リノベーションで交換することは難しく、大規模修繕等での交換を待つしかないのですが、古いサッシは気密性が落ちているので、既存サッシの上からインナーサッシを取り付けるなどして気密性を高める工夫をすると快適に過ごすことが出来ます。
断熱材も、古いものだと効力を失ってしまっていたり、また団地によっては必要な場所に断熱材が入っていないこともあるため、外壁廻りの断熱材は改めて入れ直すことで断熱性が向上し、結露対策にもなります。
以上のように注意するポイントが色々あるので、「なんだか大変そう…」と思われてしまうかもしれませんが、
どれも工夫をして、きちんと手を加えてあげれば長く快適に住まえるお家になりますよ。
団地リノベーションの事例をご紹介
最後に夢工房の団地リノベーション事例をご紹介します。ご参考になりましたら幸いです。
築40年の団地が明るく風通しの良い住まいに
▶ 施工事例をもっと詳しく見る 「木の香りに包まれて」
団地の敷地内にある緑豊かな環境が気に入って、団地ご購入を決めたご家族。ですが、築40年ということで、購入時は「まるで廃墟のよう」だったそう・・・。
抜けない壁も多いなか、家族4人が快適に暮らすためにぐるぐる回遊できるリノベーションになっています。
リビングから寝室に抜けられるウォークスルークローゼットやデスクスペースなど、欲しいスペースもしっかり揃っています!
無垢床材や珪藻土・漆喰など自然素材を使ってナチュラルカントリーな団地リノベに
▶ 施工事例をもっと詳しく見る 「団地をかわいく」
床はレッドパインの無垢フローリング、壁・天井は主に珪藻土・漆喰で仕上げています。
キッチンや洗面など水回り設備も一新して、築33年とは思えない空間・・・!
あたたかみのあるナチュラルカントリーなインテリアもよく馴染んでいて、どこか団地らしい面影も感じられるリノベーションです。
洗面のタイルもレトロな感じがしてかわいらしいですね!
まとめ。団地の特性を上手く活かした家づくりを
団地リノベーションの魅力やメリットについて、いかがでしたでしょうか。
立地や丈夫さが魅力的な団地物件。
ファミリー層も多く住んでいるので、地域の見守りといった点でも安心できそうですよね。
お家時間が長くなった昨今、団地の特性を活かしたリノベーション、暮らしづくりを考えてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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